「いい加減諦めなって」


声の方を見ると、席に座る仁美と……、あたしの席に座る山岸の姿があった。


「わかってんだけどさー。朱莉に迷惑かけてんのも」


最初から聞いてたわけじゃないから分からないけど……。

話してるのは、あたしの事みたいだった。


それが分かって、入ろうとしていた足を止める。


「っていうか、毎朝迎えに行ってるのに校門前で別れてくるのはなんで?

本当に朱莉の返事から逃げるためなの?」


仁美の言葉に、山岸が小さくため息を落としたのが肩の動きで分かった。


「だってあいつ、会長が好きなんだろ?

会長と話す時くらい2人がいいかなって。オレが隣にいたら邪魔じゃん?

……朱莉、優しいから絶対オレに気使うし」