「と、友達に借りますからっ」 焦って強めに言い返すと、先輩がクスっと笑った。 「やっといつもの朱莉らしくなったね。 最近元気がなかったから気になってたんだ」 「え、」 気にしててくれたの……? ドキっとしながら見上げると、先輩が困り顔で微笑む。 「今から遅れて教室に入ると朱莉が目立つから、とりあえず生徒会室に行こうか」 「え、でも……」 生徒会室に行ったところで着替えがない。 そう言い返そうとしたあたしのを止めたのは、先輩の指先。 首より少し下の辺りに、先輩の指がトン、と触れたから。