「朱莉、早くおいで」
ドアの前で待っている先輩に言われて、納得できないまま重い足を上げる。
「つまり……、幽霊はいないって事?」
恐る恐る聞くと、先輩が呆れたように微笑んだ。
「幽霊? そんな非科学的なものいるわけないって俺は考えてるけどね。
ただ、宗教によっては……、」
「なんで騙したの……っ?
あたしが怖がってるの分かってたくせに、何も言わなかったじゃないですか!
相沢先輩だって『怖い』とか言って、わざとあたしを騙して……!」
長くなりそうな先輩の豆知識を、声を荒立たせて遮った。
聞きたいのは、そんな事じゃない。
どこの宗教が幽霊の存在を信じてるかとか、そんな事が知りたいんじゃない。



