空色の瞳にキスを。

「お前なんかに、負けないから。」

突然の敵対宣言にトーヤはぽかんとしてしまう。

「ちょっと、ルグィ…!
苦し…!離して…。」

息絶え絶えに紡がれた呟き声で、すぐに彼女は解放される。
回復した少女は、振り向いて見上げる高さの金の瞳を見据えて口を尖らせる。

「なんでそんなこと言うのよ…。」

そう言うナナセの背後で、トーヤの心に火がついた。

「…俺、頑張る!
絶対二人に追い付いてやる!」


拳を握り、叫んだ彼の隣に座る少女の赤と茶の瞳が細くなって笑んだ。

「ねぇスズラン、私はナナセじゃないけど、この場所すごく静かで、凄く不思議な感じがするの。」

三人の騒ぎを眺めながら、アズキがぽつんと漏らす。
それを聞いたスズランが穏やかに笑って、口を開いた。

「これはね、西洋の魔女の国の訓練場を真似たものよ。

そこの訓練の仕方がちょうどこんな感じで。
初めて見た時から凄く精神に優しいのにとても心も身体も強くする方法だと思ったの。」

「そうなの…。」

彼女が納得したように相槌を打つ。

─だから私はこんな部屋、知らなかったのね。

向こうの騒ぎも落ち着いたようで。

会話を進める茶髪の少女と栗色の少女に3人の視線が集まる。

「今の訓練はね、アズキの方が魔力を安定させるためのもの。
トーヤが最大限の魔力を引き出してその状態を維持するためのもの。

まあもっとも、それをずっと維持しなきゃならないんだけど…。」

そこでアズキがナナセに問い掛ける。

「もしかしてナナセもそうやってるの?」

数瞬の間の後、ナナセが困ったような笑みを浮かべて言った。

「うん、多分ね。」

「多分って、どういうこと?」

「もう分からないの。」

口を挟んできたトーヤの方を向いて、ナナセは小さく首を振りながら答えた。

「え?」

トーヤは答えの意味が分からなくて問い返す。