「ただい…ま。」
扉を開けて調子よく部屋に戻ってきたスズランの威勢のいい声は尻すぼみになる。
獅子の女の視線は、アズキを寝かしたベッドの脇に釘付けになる。
スズランはナナセに両腕を回すルグィンと体を全部預けているナナセを見てしまった。
扉を閉めて、ゆっくりと振り返る。
流石のスズランもこの光景に少し戸惑い、頬を染めて入り口で固まる。
「…ごめん。」
「…別に。」
ぽつりと真っ赤な顔でそんなこと言われても、説得力はない。
ナナセの返事が返って来ないことを不思議に思ったスズランが、おずおずと尋ねる。
「もしかしてナナセ…。」
彼女の言葉に、呆れた口調でルグィンは答える。
「あぁ。
こいつ、寝てる。」
ため息の混じったその声音に、スズランは笑いを堪えられなくなる。
「っあはは!
複雑でしょうね、貴方。」
口元を隠しながら、令嬢とは思えない笑い方をして、1つ年下の異形の少年をからかう。
「うるせぇな…。」
目を逸らして銀髪の少女に目を落とす少年にまた堪えきれなくなったようで、スズランはまた笑い出す。
「でも信頼されてて良かったじゃない。」
そんな言葉をかけたら目を吊り上げてにらんでくる黒猫の少年なんか、獅子の少女には怖くなかった。
扉を開けて調子よく部屋に戻ってきたスズランの威勢のいい声は尻すぼみになる。
獅子の女の視線は、アズキを寝かしたベッドの脇に釘付けになる。
スズランはナナセに両腕を回すルグィンと体を全部預けているナナセを見てしまった。
扉を閉めて、ゆっくりと振り返る。
流石のスズランもこの光景に少し戸惑い、頬を染めて入り口で固まる。
「…ごめん。」
「…別に。」
ぽつりと真っ赤な顔でそんなこと言われても、説得力はない。
ナナセの返事が返って来ないことを不思議に思ったスズランが、おずおずと尋ねる。
「もしかしてナナセ…。」
彼女の言葉に、呆れた口調でルグィンは答える。
「あぁ。
こいつ、寝てる。」
ため息の混じったその声音に、スズランは笑いを堪えられなくなる。
「っあはは!
複雑でしょうね、貴方。」
口元を隠しながら、令嬢とは思えない笑い方をして、1つ年下の異形の少年をからかう。
「うるせぇな…。」
目を逸らして銀髪の少女に目を落とす少年にまた堪えきれなくなったようで、スズランはまた笑い出す。
「でも信頼されてて良かったじゃない。」
そんな言葉をかけたら目を吊り上げてにらんでくる黒猫の少年なんか、獅子の少女には怖くなかった。

