「ハルカっ!おばあちゃんがっ……」
涙で濡れた顔で飛び出してきたのは、平民にしては、綺麗な身なりをしている少女だった。
肩まであるふわりとした茶髪に大人しそうな顔立ちをしていて、ワンピースがよく似合っていた。
「トーヤから聞いたよ。
サラ婆がどうしたの?」
ハルカは少しでも落ち着いて貰おうと、逸る気持ちを抑えてゆっくりと尋ねた。
「おばあちゃんが倒れちゃった……どうしよう!ハルカ……!」
アズキが涙をこぼしながら慌てている。
いつも必ず助けると心に決めていた人たち。
自分に助けを求めている人たちを助けたいという心は変わらない。
「必ず、助けるから」
頭より先に、口が動いていた。
アズキの祖母の部屋へ向かう。
家の中は知っている。
サラの部屋も知っている。
廊下から続いていた部屋の扉を開ける。
床に布団がひかれ、それに、誰かがうずくまっていた。たっ、と駆け寄る。
「サラ婆!!」
顔が青白いし、苦しそうな顔をしている。
そうっと口元に手をかざす。
──息をしていない。
ハルカの顔が青ざめる。
胸に耳を寄せる。
魔術でサラの頭を調べる。
──大丈夫、頭はまだ生きている。
あたしの力でなんとか治せると、ハルカは気合いをいれた。
「ハルカ……!!」
いつ追い付いたのか、ハルカの隣でアズキが不安そうにこちらを見ていた。
「アズキ。大丈夫。
必ず助ける。
心配しないで。」
ハルカはアズキに言葉をかけると同時に瞳や掌が青色の光を発し始めた。
アズキは彼女の変化に、部屋の縁へと後ずさる。
アズキの後ろから足音がした。
振り向いてみると、幼い顔を強張らせているトーヤがこちらへ歩いてきている。
「サラ婆ちゃんは?」
トーヤが尋ねる。
トーヤの方からアズキはハルカと祖母のいる部屋へと視線をうつす。
「ハルカが今、治してくれてるの。」
トーヤもアズキの隣から部屋の中を覗きこんだ。
「あの目が青いの……ハルカ?」
ぽろりとこぼれ落ちた驚きは、トーヤのものだけれども、アズキも同感だった。
アズキとトーヤは医術師としての彼女を見たことがなかった。
どんな医療魔術であれ、ハルカが見せようとしなかったから。
頼んでも彼女の開いている診療所には入れてくれなかった。
興味本意じゃ失礼でしょうとハルカに言われてしまえば、終わりだった。
魔術のせいだろう瞳が青く、彼女はいつになく真剣だ。
いつもの憂いを秘めた面持ちではない。
初めて見る魔術師としての彼女は、いつものふわりとしているハルカでは無かった。
涙で濡れた顔で飛び出してきたのは、平民にしては、綺麗な身なりをしている少女だった。
肩まであるふわりとした茶髪に大人しそうな顔立ちをしていて、ワンピースがよく似合っていた。
「トーヤから聞いたよ。
サラ婆がどうしたの?」
ハルカは少しでも落ち着いて貰おうと、逸る気持ちを抑えてゆっくりと尋ねた。
「おばあちゃんが倒れちゃった……どうしよう!ハルカ……!」
アズキが涙をこぼしながら慌てている。
いつも必ず助けると心に決めていた人たち。
自分に助けを求めている人たちを助けたいという心は変わらない。
「必ず、助けるから」
頭より先に、口が動いていた。
アズキの祖母の部屋へ向かう。
家の中は知っている。
サラの部屋も知っている。
廊下から続いていた部屋の扉を開ける。
床に布団がひかれ、それに、誰かがうずくまっていた。たっ、と駆け寄る。
「サラ婆!!」
顔が青白いし、苦しそうな顔をしている。
そうっと口元に手をかざす。
──息をしていない。
ハルカの顔が青ざめる。
胸に耳を寄せる。
魔術でサラの頭を調べる。
──大丈夫、頭はまだ生きている。
あたしの力でなんとか治せると、ハルカは気合いをいれた。
「ハルカ……!!」
いつ追い付いたのか、ハルカの隣でアズキが不安そうにこちらを見ていた。
「アズキ。大丈夫。
必ず助ける。
心配しないで。」
ハルカはアズキに言葉をかけると同時に瞳や掌が青色の光を発し始めた。
アズキは彼女の変化に、部屋の縁へと後ずさる。
アズキの後ろから足音がした。
振り向いてみると、幼い顔を強張らせているトーヤがこちらへ歩いてきている。
「サラ婆ちゃんは?」
トーヤが尋ねる。
トーヤの方からアズキはハルカと祖母のいる部屋へと視線をうつす。
「ハルカが今、治してくれてるの。」
トーヤもアズキの隣から部屋の中を覗きこんだ。
「あの目が青いの……ハルカ?」
ぽろりとこぼれ落ちた驚きは、トーヤのものだけれども、アズキも同感だった。
アズキとトーヤは医術師としての彼女を見たことがなかった。
どんな医療魔術であれ、ハルカが見せようとしなかったから。
頼んでも彼女の開いている診療所には入れてくれなかった。
興味本意じゃ失礼でしょうとハルカに言われてしまえば、終わりだった。
魔術のせいだろう瞳が青く、彼女はいつになく真剣だ。
いつもの憂いを秘めた面持ちではない。
初めて見る魔術師としての彼女は、いつものふわりとしているハルカでは無かった。

