空色の瞳にキスを。

「アズキの秘密…?」

思いがけなくやって来た幸運に驚きつつ呟くナナセ。

「あぁ。」

口調は優しいのに、アズキに似たどこか芯のある瞳は真剣だった。


「…聞かせてください。」

まっすぐにナナセの瞳ががサラを見つめ返す。

一呼吸置いて、頭を勢い良く下げる。

「お願い…します。」

声にも滲み出た強い意思は、サラにしっかりと届いた。


「もちろん。」


その答えを聞いたサラが片手をひらりと振ると、扉の鍵はカチャンいう音と共に閉まる。


─サラが使ったのは、鍵の魔法。

「やっぱり…。
あなた、魔術師ですよね…。」

驚きと共に呟くナナセだったが、他のコルタたちも驚きを隠せないようで固まっていた。


その姿を見て、サラは話し出す。

いつものゆっくりとした言葉の中に、強い思いを秘めて。

「誰にも言って来なかったんじゃが…昔は…。
エリが生まれる前までは神官を務めておったよ。

カイ王様…あなたの父上が暗殺された時期から王城には縁がなくなったが…ね。」

きっとライのことがあったから、交流がなくなったんだとナナセは心の端で思う。

それよりも、引っ掛かる言葉があった。

「神官…?」

─あたしが城にいた頃には、確か空席だったはず。


「あなたがいた頃には居なかったぞ。

末っ子のエリを産んでから体調が優れなくての、引退させてもらったのだよ。」




「そうですか…。」


そこでナナセは悟る。


―もしかして。


―もしかして。




「アズキにも、その力が…?」