空色の瞳にキスを。

「あなたが去ったあと、アズキ達を助けてくれた旅人がいたの。

まぁ、その旅人2人は首狩りだったんだって、アズキ達が連れ去られたあとに気付かされたわ。

助けてくれたのは、あなたとの関わりを怪しんでたからみたいなの。


それにアズキの力にも気付いたみたいでね。」

エリは今までのことをぽつりぽつりと話し始める。


「アズキの力…?
それって…何…?」

焦ったように尋ねたナナセにゆるゆると首を振るエリ。


「…私には分からないの…。

魔法使いの才は私には無いし、アズキの才能は突然変異みたいなの…。」

ナナセが目を見開く。

「え…。」


―違う。

―アズキの祖母は魔力を通して記憶を見るという才能を持っていた。

魔力は多少なりとも遺伝する。

アズキは魔力を持ったサラの孫だ。

そんなわけない、と続けようとしたその時。


ナナセの背後の扉から聞き慣れた声が聞こえた。


「おぉ、ナナセ王女、久しぶりじゃないか。」

嗄れた女性の声が聞こえた。

「サラ婆!」

ぱっ、と彼女の顔が輝く。


「元気にしてた?」

喋りながらサラのもとへと駆け出す。

「あぁ。
ナナセ王女、帰ってきてくれてありがとうな。」

ナナセは首を横に大きく振り、涙を溢す。


そんな彼女の反応はお構い無しに、サラは話を切り出した。

「さて、ナナセ王女。
アズキとトーヤを助けにいってくれる気はあるのかい?」


「はい、もちろん…。」

空色の瞳は涙に濡れていたが、強い意思が奥に秘められていた。




「孫の秘密、教えてやろうか?」


サラが柔らかく、でもどこか悪戯っぽく笑った。