エリに案内されて4人の親達に付いていつも集まっていたあの部屋に入り、入り口で立ち止まったナナセ。
微かな風を感じて4人が振り返れば、ふわりと銀が舞っていた。
黒から銀に戻った少女が深々と頭を下げる。
彼女の向かい側には、エリとコルタ。
自分が逃げてしまったアズキの両親。
その後ろには、トーヤの両親。
「ハルカちゃん…。」
ファイの姿で目の前で頭を深々と下げるナナセを見て、エリが小さく呟く。
彼女の真剣さに、棒立ちをしたまま動けなくなる。
ごめんなさい、とまだ呟くナナセの後ろで、なにも言わずに真っ直ぐにルグィンは目の前にいるエリとコルタを見据える。
「…ナナセ王女。
顔を、上げて。」
コルタは優しく本来の姿の名を呼ぶ。
「…はい。」
床を見ていた彼女の目がゆっくりと上げられた。
アズキによく似た茶色の明るい瞳と交わる。
「俺も、悪かった…。
でも、あの時はお前を遠ざけた方が安全だと思ったから…。」
ふぃ、と気まずそうな茶色の視線はナナセの瞳から床へと移る。
「はい。
あたしもすみません…。
秘密を話したのなら最後まで守らなきゃならないのに、途中で逃げ出してしまって…。
あたしのせいで、アズキとトーヤが危険な目に…。」
「なぜ、逃げた。」
コルタがナナセを目にきつい光を宿して尋ねる。
その瞳に臆さずに、真っ直ぐに見つめ返しナナセが口を開く。
「あなたが、許せなかったんです。
コルタさんが、アズキを娘ではないと言ったことが…。」
「…。」
ナナセの瞳とその声に、言葉が続かなくなったアズキの父、コルタ。
彼の茶色の瞳がぐらりと揺れる。
それを知っても、言葉を紡ぐナナセ。
「本当は大事で仕方ないくせに、そんなこと言わないでください。
本当に会えなくなったら…どうするの…?」
最後の声は、震えていて。
切ない色のその思いは、彼女の体験でもあって。
やけに納得する声。
微かな風を感じて4人が振り返れば、ふわりと銀が舞っていた。
黒から銀に戻った少女が深々と頭を下げる。
彼女の向かい側には、エリとコルタ。
自分が逃げてしまったアズキの両親。
その後ろには、トーヤの両親。
「ハルカちゃん…。」
ファイの姿で目の前で頭を深々と下げるナナセを見て、エリが小さく呟く。
彼女の真剣さに、棒立ちをしたまま動けなくなる。
ごめんなさい、とまだ呟くナナセの後ろで、なにも言わずに真っ直ぐにルグィンは目の前にいるエリとコルタを見据える。
「…ナナセ王女。
顔を、上げて。」
コルタは優しく本来の姿の名を呼ぶ。
「…はい。」
床を見ていた彼女の目がゆっくりと上げられた。
アズキによく似た茶色の明るい瞳と交わる。
「俺も、悪かった…。
でも、あの時はお前を遠ざけた方が安全だと思ったから…。」
ふぃ、と気まずそうな茶色の視線はナナセの瞳から床へと移る。
「はい。
あたしもすみません…。
秘密を話したのなら最後まで守らなきゃならないのに、途中で逃げ出してしまって…。
あたしのせいで、アズキとトーヤが危険な目に…。」
「なぜ、逃げた。」
コルタがナナセを目にきつい光を宿して尋ねる。
その瞳に臆さずに、真っ直ぐに見つめ返しナナセが口を開く。
「あなたが、許せなかったんです。
コルタさんが、アズキを娘ではないと言ったことが…。」
「…。」
ナナセの瞳とその声に、言葉が続かなくなったアズキの父、コルタ。
彼の茶色の瞳がぐらりと揺れる。
それを知っても、言葉を紡ぐナナセ。
「本当は大事で仕方ないくせに、そんなこと言わないでください。
本当に会えなくなったら…どうするの…?」
最後の声は、震えていて。
切ない色のその思いは、彼女の体験でもあって。
やけに納得する声。

