ナナセといた頃の優しい仮面を外したトキワの冷めた瞳が彼女を見据える。
スズランは避けることで精一杯なのを隠して答える。
「そう、かも知れない…わね!」
スズランが持っている近距離戦で役立ちそうな持ち物と言えば、小さな簡易ナイフくらい。
刀のプロの前では役に立たないだろう。
そんな考えを巡らせて、魔装銃を構え直す。
─ナナセは、絶対渡さない。
─彼女は、救ってくれるかも知れないから。
この歪んだ国を……それから、ルグィンを。
だから。
「貴方には、渡さない。」
彼女が奥にいると丸分かりだが、スズランは扉の前を退く事は出来ない。
この狩人の相手をしながら、扉をかばうのは難しいと分かっている。
けれど、守らないといけないから。
獅子の少女は銃を構えて彼を睨む。
引き金を迷いなく、引く。
高い銃声に間髪を入れずに同じ音が響く。
獅子の少女は唇を固く結んで引き金を引き続ける。
刀で削られながら、闇に溶けた栗色の髪が彼女が撃つ銃の反動で肩の上で揺れる。
「前からナナセを狙っていたのは知っていたわよ…!」
部屋に響く大きな銃声に掻き消されないように少し声を張り上げて獅子の彼女は怒鳴るように言う。
彼女をニヤニヤと余裕のある顔で眺めて、狩人は流石と一言溢して押し黙る。
そして後ろへ飛んでスズランと距離を取り、腕を下ろしてカン、と刀を床に当てる。
スズランの視界に映るトキワが、冷めていると今改めて気付く。
闇の世界の住人、首狩りのトキワへと変貌を遂げていた。
姿かたちは変わらずとも、雰囲気がぐん、と冷たくて。
闇に濡れる漆黒の瞳も、一瞬一瞬にもっと、冷めて。
「悪いね、スズランさん。
…死んで。」
唇から零れる言葉も、冷たい。
スズランは避けることで精一杯なのを隠して答える。
「そう、かも知れない…わね!」
スズランが持っている近距離戦で役立ちそうな持ち物と言えば、小さな簡易ナイフくらい。
刀のプロの前では役に立たないだろう。
そんな考えを巡らせて、魔装銃を構え直す。
─ナナセは、絶対渡さない。
─彼女は、救ってくれるかも知れないから。
この歪んだ国を……それから、ルグィンを。
だから。
「貴方には、渡さない。」
彼女が奥にいると丸分かりだが、スズランは扉の前を退く事は出来ない。
この狩人の相手をしながら、扉をかばうのは難しいと分かっている。
けれど、守らないといけないから。
獅子の少女は銃を構えて彼を睨む。
引き金を迷いなく、引く。
高い銃声に間髪を入れずに同じ音が響く。
獅子の少女は唇を固く結んで引き金を引き続ける。
刀で削られながら、闇に溶けた栗色の髪が彼女が撃つ銃の反動で肩の上で揺れる。
「前からナナセを狙っていたのは知っていたわよ…!」
部屋に響く大きな銃声に掻き消されないように少し声を張り上げて獅子の彼女は怒鳴るように言う。
彼女をニヤニヤと余裕のある顔で眺めて、狩人は流石と一言溢して押し黙る。
そして後ろへ飛んでスズランと距離を取り、腕を下ろしてカン、と刀を床に当てる。
スズランの視界に映るトキワが、冷めていると今改めて気付く。
闇の世界の住人、首狩りのトキワへと変貌を遂げていた。
姿かたちは変わらずとも、雰囲気がぐん、と冷たくて。
闇に濡れる漆黒の瞳も、一瞬一瞬にもっと、冷めて。
「悪いね、スズランさん。
…死んで。」
唇から零れる言葉も、冷たい。

