夜の闇に包まれたこの部屋によく映える銀髪に栗色の瞳の彼女。
声はナナセのそれよりしっかりしていて。
サシガネは目を見開いて言葉を落とす。
「スズラン…か?」
その顔を見て、少女は感情のない笑顔を浮かべる。
「さぁ?どうかしら。」
そう答えた張りのある力強い声は、スズランのもの。
茶色の瞳とその声が、彼女の証明。
その彼女はナナセがいつも着ていたブラウスと青いスカートを布団の隙間から覗かせて起き上がる。
同時に、きりりとサシガネの腕を強く握り爪を立てる。
一瞬痛みに顔を歪めたサシガネが笑って口を開く。
「爪に毒を仕込んだって、無駄だぜ。
ほとんどの毒に耐性があるから。」
白銀の少女を装っていたスズランは自分の作戦は失敗だと知らされ、サシガネを睨む。
トキワは刀の柄に片手を添えて、彼女を睨み付けている。
その視線に気付いていても、この少女は臆さない。
ちらりと黒髪の彼を見下したように見遣って、また金髪の狩人を見据える。
「ふぅん、残念。」
やはり色っぽく、偽の少女は笑った。
そして、一瞬て表情を消して冷たい目と見下した声音で彼女は尋ねた。
「ナナセを、捕まえに来たんでしょ?」
「はっ、そりゃそうだろ。」
鼻で笑って答えたトキワは、いつもの穏やかな雰囲気とはかけ離れた空気を纏っている。
「あいつは金になるからな…。」
ぞくりとする笑顔で続けたのはサシガネ。
その笑顔を見つめる栗色の瞳も闇の中で鋭く輝く。
「貴方たちには…渡さない。」
いつも窓から見える嫌になるくらいに輝く月は、厚い雲に隠れてこの部屋をぐっと暗くする。
決意を込めた言葉を落として、少女は片手で腰に携えていた魔装銃を引き抜く。
魔力を込めた弾を打ち出す彼女の武器で真っ直ぐに狙うはサシガネの眉間。
銃を持つ手も、彼女の表情も、命を奪う武器を持つことに迷う様子はなくて。
この闇の世界に慣れた異形が、冷徹に闇の中の彼らを狙う。
狙いを定めたスズランに打ち出された弾丸は、真っ直ぐにサシガネに迫る。
それを難なくかわすサシガネ。
かわされることを読んでいたスズランが次の銃弾を打ち出す。
次第に、弾丸の嵐となる。
サシガネとトキワは彼女の発砲を避けて、また隙があれば襲いかかる。
防音の部屋に、銃声独特の高い音と金属の澄んだ音が大きく響く。
─激しい嵐を招く。
声はナナセのそれよりしっかりしていて。
サシガネは目を見開いて言葉を落とす。
「スズラン…か?」
その顔を見て、少女は感情のない笑顔を浮かべる。
「さぁ?どうかしら。」
そう答えた張りのある力強い声は、スズランのもの。
茶色の瞳とその声が、彼女の証明。
その彼女はナナセがいつも着ていたブラウスと青いスカートを布団の隙間から覗かせて起き上がる。
同時に、きりりとサシガネの腕を強く握り爪を立てる。
一瞬痛みに顔を歪めたサシガネが笑って口を開く。
「爪に毒を仕込んだって、無駄だぜ。
ほとんどの毒に耐性があるから。」
白銀の少女を装っていたスズランは自分の作戦は失敗だと知らされ、サシガネを睨む。
トキワは刀の柄に片手を添えて、彼女を睨み付けている。
その視線に気付いていても、この少女は臆さない。
ちらりと黒髪の彼を見下したように見遣って、また金髪の狩人を見据える。
「ふぅん、残念。」
やはり色っぽく、偽の少女は笑った。
そして、一瞬て表情を消して冷たい目と見下した声音で彼女は尋ねた。
「ナナセを、捕まえに来たんでしょ?」
「はっ、そりゃそうだろ。」
鼻で笑って答えたトキワは、いつもの穏やかな雰囲気とはかけ離れた空気を纏っている。
「あいつは金になるからな…。」
ぞくりとする笑顔で続けたのはサシガネ。
その笑顔を見つめる栗色の瞳も闇の中で鋭く輝く。
「貴方たちには…渡さない。」
いつも窓から見える嫌になるくらいに輝く月は、厚い雲に隠れてこの部屋をぐっと暗くする。
決意を込めた言葉を落として、少女は片手で腰に携えていた魔装銃を引き抜く。
魔力を込めた弾を打ち出す彼女の武器で真っ直ぐに狙うはサシガネの眉間。
銃を持つ手も、彼女の表情も、命を奪う武器を持つことに迷う様子はなくて。
この闇の世界に慣れた異形が、冷徹に闇の中の彼らを狙う。
狙いを定めたスズランに打ち出された弾丸は、真っ直ぐにサシガネに迫る。
それを難なくかわすサシガネ。
かわされることを読んでいたスズランが次の銃弾を打ち出す。
次第に、弾丸の嵐となる。
サシガネとトキワは彼女の発砲を避けて、また隙があれば襲いかかる。
防音の部屋に、銃声独特の高い音と金属の澄んだ音が大きく響く。
─激しい嵐を招く。