◇◇◇◇◇◇


「で? それからどうしたの?」


あぁ、怒りマークが……。


花梨ちゃんの語尾に、特大の怒りマークが二個も三個もくっついてる……。


あたしはビクビクしながら、上目遣いで答えた。


「えっと。大地が自転車の後ろに乗っけて、家まで無事に送ってくれました」


「そんなことを聞いているんじゃないって、わかってるよね? 七海ちゃん?」


例の物置小屋横で、花梨ちゃんの真正面に立ちながら、あたしは必死になって目を逸らす。


大地と共同戦線を結んだ翌日。登校してきた花梨ちゃんを校門前で待ち伏せして、ここへ強引に引っ張ってきた。


理由はもちろん、昨日のことを説明するため。


だって花梨ちゃんには秘密にしておけない。分身に隠し事なんて不可能だ。


ヘタに内緒にしてた場合、バレた後がものすごく怖いの。花梨ちゃんって。


自分から暴露しちゃった方が何倍もマシ。


「一晩寝て、頭を冷やして、ちゃんと思い直したんでしょうね? って聞いてるの」


花梨ちゃんは怒りを隠そうともしないけど、それも無理ない。


ひとりっ子の花梨ちゃんにとって、うちのお姉ちゃんは本当の姉みたいなものだから。