運命みたいに恋してる。

表通りから住宅地の方へ入り込み、細い生活道路を何本か通っていくと、ひと気のない寂れた公園が見えてきた。


家一軒分くらいの小さな空き地に、鉄柱の錆びたブランコがポツンと建ってるだけの公園だ。


大地はまっすぐその公園に向かって進んで、その後に続いてあたしも公園に入る。


まったく手入れされていない感が満載の、伸びっぱなしの雑草を踏みしめながら、あたしたちはブランコに近づいた。


「ここ、座れよ」


あたしは、言われた通りにブランコに腰掛けた。


お尻を乗っけた板の部分がギシッと軋んだ音をたてて、腰と背中がフラつく。


ブランコなんて何年ぶりだろう。


「まぁ、泣けよ」

「え?」


唐突にそんなことを言われて、あたしは大地の顔をキョトンと見上げた。


自転車をブランコ脇に停めた大地は、あたしから視線を逸らしつつ、言葉を続ける。


「泣きたいんだろ? ならガッツリ泣けよ。ここなら誰にも邪魔されねえから」


「大地……」


「心配すんな。変なヤツが来ても俺が絶対守ってやる」


大地はクルリと背中を向けて、腕を組む。


たぶんあたしが気兼ねなく泣けるように、こっちを見ないようにしてくれているんだ。


ジャージの背中の広さが、傷ついたあたしの心に、すごく頼もしく映って見える。


だからあたしは安心して、心の底から遠慮なく、大泣きをかまさせてもらったのだった……。