運命みたいに恋してる。

あたしは急流に流され、浮き上がることも息をすることもできなかった。


あたしの体は、まるで頼りない木の葉のようにグルグルと……。


「はい。ストップー」


花梨ちゃんが、また片手をあげてストップの要求をした。


半目になってこっちを見ながら、あたしのストーリーに淡々と修正をかけてくる。


「これまで何度も言ったけど、それは七海ちゃんの思い込みです。あの流れの悪い澱んだドブ川で、そんなことになるわけないじゃん」


「でも流されたの! グルグルしたの! 体が!」


「それは、パニックで頭がグルグルしてたんでしょ? 普通に立てば子どもでも足が着く深さなのに、『自分は溺れてる!』って思い込んでいただけだよ」


あの恐怖体験をめっちゃ冷静に分析されて、あたしはムキになって反論した。


「体験した本人が言ってるんだから間違いないの! 花梨ちゃん、体験したことないくせに!」


「そりゃないよ。ドブ川で溺れた体験なんか」


「うぐぅ……! そ、そしたらそのとき、あたしの命の危機に……」