大地君の口から出た『運命』という単語に、あたしは声を失った。


あたしが柿崎さんに運命を感じたように、大地君もお姉ちゃんに運命を感じていたのか。


兄弟姉妹同士で、なんて皮肉な偶然なんだろう。


そしてあたしたちが感じた運命は、実は運命じゃなくて、本当の運命はお姉ちゃんと柿崎さんの間で結ばれて……。


あぁもう、混乱して頭がクラクラしてきたけど、ひとつだけ確かな事実がある。


「それ、勘違いだよ。この恋は、運命じゃなかったんだよ」


「いいや。絶対に運命だ。俺は言い切れる」


そんな迷いのない目で断言されても、困る。


この人、なんでこんなに自信満々なの?


「俺は兄貴から一海さんを奪い取るつもりなんだ」


大地君がニヤッと笑いながら言ったセリフに、あたしは目を丸くした。