泣きっぱなしで役立たずのあたしの手を引っ張って、花梨ちゃんが通りすがりの人に帰り道を聞いてくれる。


そうして、花梨ちゃんに家まで送ってもらって自宅に帰りついたあたしは、自分の部屋にこもって放心していた。


お母さんは仕事で遅いし、お姉ちゃんはまだ帰ってきていないから、家中がシーンと静まり返っている。


ひとりでいられて、ありがたかった。


だってあたしの胸の中には、自分でも嫌になるくらい真っ黒でドロリとした感情が、うごめいているから。


『お姉ちゃんはズルい』


……出会って一年? 一年ぽっち?


なによ、それ。


あたしは十年間も想い続けてきたのに、一年なんて軽くて薄っぺらなものに負けたの?


そんなのとても納得できない。お姉ちゃんの一年より、あたしの十年の方が重いに決まってるじゃん。


運命の恋だったのに、神様どうして? どうしてこうなるの!?