とりあえず、校舎横のガーデンスペースに置かれた白いベンチを見つけて、腰を下ろしたところだ。


それにしても、高校ってすごいな。敷地内にこんな立派なテラスガーデンがあるなんて。


庭に沿って植えられた木々や、テラコッタ風プランターなんかも、おしゃれで大人っぽい雰囲気が漂ってる。


しかも高校は、学校の中に食堂があるんだもんね。中学とは規模が違うよ。


「ねぇ、花梨ちゃん。入学したら一緒に学食でご飯食べようね!」


「入学したらっていうか、合格したらね。まずはそこでしょ」


ウキウキしているあたしに、花梨ちゃんが冷静にツッコんでくる。受験本番だというのにちっとも緊張してなさそうなのは、さすが花梨ちゃんだ。


あたしと花梨ちゃんは赤ちゃんの頃からの幼なじみ。


生まれた病院も、生まれた日も、病室も一緒。


これまでの人生の大半を一緒に過ごしてきたから、お互いの喜びも悲しみも失敗も、ぜーんぶ知り尽くしている間柄。


身内同然……というかもう自分の分身みたいな、かけがえのない親友なんだ。