「ふーん。どうやら本当に王子様みたいね。すごい偶然だね」


花梨ちゃんもようやく納得してくれたようで、あたしはまた胸の奥から興奮が湧き上がってきた。


「もうここまでくると偶然じゃなくて、まさに運命だよ! あたし、すっごい最高な気分!」


ワクワクする心が体から飛び出して、今にも踊りだしそう!


本当にこの世界には、自分と結ばれるべき運命の人が存在しているんだね。


どこかにいる運命の誰かが、自分と巡り合う瞬間を待ち続けているなんて……あぁ、なんてロマンチック!


「まあ、この再会が運命かどうかはべつにして、よかったね。七海ちゃん」


大親友の花梨ちゃんがニッコリ笑ってそう言ってくれて、あたしの幸福感がますます上昇する。


ちょうどそのとき、シルバートレーを持った柿崎さんが扉の向こうから戻って来た。


「お待たせしました。オリジナルブレンドとアイスレモンティーです」


香ばしい匂いが漂うコーヒーカップを、花梨ちゃんの前に。


紅い宝石みたいな液体が注がれているグラスを、あたしの目の前に置く柿崎さんの動作の優雅さよ!


こういう単純な動作に人柄って表れるのね。


柿崎さんの全身から漂う雰囲気も優しくて穏やかだし、モロにあたしの好みのタイプ。