運命みたいに恋してる。

『拓海』と『七海』って、海繋がりじゃないの!


名前まで運命的だなんて、どこまでも完璧な組み合わせだ。


これはもう、神様が引き合わせてくれたとしか思えない!


「あ、よかったら座ってなにか飲まない? ここね、外からは普通の家に見えるけど実はカフェなんだよ」


王子様がそう言ってくれて、あたしは脊髄反射のように勢いよく叫んだ。


「知ってます! 看板見ましたから!」


こんな見つけにくいカフェに気がついたのも、きっと天のお導きだろう。


気がつくと、あたしの体はジリジリと柿崎さんに接近していて、そのぶん柿崎さんがジリジリ引いている。


やだ。まるで柿崎さんのことを脅しているみたい。


でも感情のストッパーが壊れちゃって、自分じゃどうにもできないよ!


「七海ちゃん。お言葉に甘えて座らせてもらおうか」


黙って状況を見ていた花梨ちゃんが、ガシッとあたしの腕を掴み、すごい力で引っ張ってイスに座らせた。


花梨ちゃんたら顔はニコニコしてるけど、『少しは落ち着きなさいよ! みっともない!』ってイライラオーラを全身から放出してる。


だってこんな異常事態なんだもん! 多少の挙動不審は大目に見てよ!