運命みたいに恋してる。

うれしくてうれしくて、心臓がバックンバックン高鳴って今にも破裂しそう。


まさか再会できるなんて夢にも思ってなかったから、頭も心も完全にパニック。


どうすればいいのかわかんなくて、今にも泣き出しそうだ。


「七海ちゃん? どうかしたの?」


顔を歪ませて目をウルウルさせているあたしを見て、王子様が心配そうに話しかけてきた。


「ひょっとして七海ちゃん、僕のこと、わからないのかな? 知らない男に話しかけられて警戒してる?」


「そ、そんなこと……!」


あたしはかすれ声で否定しながら、髪が乱れるほどの勢いでブンブン首を横に振った。


あたしがあなたのことを忘れるわけがないです!


……って言いたいけれど胸がいっぱいで、ぜんぜん声が出ないー!


「あぁ、よかった。改めて自己紹介させてね。僕の名前は柿崎拓海(かきざきたくみ)です。こうして会えてうれしいよ」


笑顔の王子様……ううん、柿崎さんがそう言った。


柿崎拓海。かきざき、たくみ。たくみ……。


十年かけて、やっと知ることができたその名前を、あたしは心の中で噛みしめるように何度も繰り返した。