運命みたいに恋してる。

ーーコン、コン。


ノックの音が聞こえて、さっきの仲居さんがドアを開けて顔を覗かせた。


「お待たせいたしました。それではこれから『梅の間』へご案内します」


「七海。行ってくるからね。ちゃんと話し合って解決するから、心配しないで待っていなさい」


「大地もおとなしく待っていなさい。わかったな?」


そう言って、お母さんとおじさんが部屋から出て行く。


今の会話の後では、さすがに強引に着いて行くわけにもいかない。


あたしと大地は、座っておとなしく待つよりほかになかった。


そうして時間が経つにつれ、やっぱりどうしても話し合いの様子が気になってくる。


どんな状況なんだろう? まだ終わらないのかな? 荒れた展開になってないかな?


心配で心配でどうしようもないのに、なにもせずに、時計の針の進む音を聞いているだけなんて……。


ーーカチ、カチ。

ーーカチ、カチ、カチ。

ーーカチ、カチ、カチ、カチ……。


あ――も――!


「もう嫌!もうダメ!もう限界!」


机を両手でバンと叩きつけて、あたしは立ち上がった。


腕組みしながら難しい顔をしていた大地が、ビックリしてあたしを見上げる。


「なんだ? トイレか?」


「違うわよ!ここでこうして、じっと待ってるだけって状況が限界なの!」


いくらなんでも時間がかかり過ぎてる。こうして心配しながら待ってる人がいるってのに!


もう我慢できない! こうなったら行動に移させてもらいます!


「おい、どうするつもりだ? ここで待ってろって言われたろ?」


「言われたことは、ちゃんと理解してる。言いつけを破るつもりはないよ」


しゃしゃり出て口を挟むつもりはないんだ。ただ、話しを聞くだけ。


視聴するだけなら邪魔にならないし、文句もないでしょ?