運命みたいに恋してる。

体調だって、すぐ崩すのに!


『七海、ごめんね。お姉ちゃんをゆるしてね』


そういえば、昨日のお姉ちゃんは何度もあたしに謝っていた。


まさか、あの謝罪はこういうことだったの?


もうすでに駆け落ちすることを、柿崎さんと密かに決めていたの?


……お姉ちゃんのバカ! こんなに心配させて!


謝っても許してあげないから!


「しかも、そんな一海さんと一緒に行動してるのが、うちの兄貴ときたもんだ」


苦悩の声を出す大地に、今度は花梨ちゃんが深いため息を返す。


「あんたのお兄さんも、現実適応能力は低そうね」


「ああ。自慢じゃないけどな。ろくに金も持ってないはずなのに」


「なのに激情で突っ走ったわけか。ちゃんと今日からふたりで生きていけるの?」


「保証はできない」


柿崎さんを一番よく知っている大地の発言に、あたしは青ざめた。


ぜ、前言撤回! 今すぐ許すから、帰ってきてお姉ちゃん!


「そこまで心配しなくても大丈夫よ。七海ちゃん」


たぶんこの中で一番冷静だろう花梨ちゃんが、そう言って肩をすくめた。


「生きていけないとわかった時点で、帰ってくるでしょ。そこまでふたりはバカじゃないと思うよ?」


「バカじゃないけど方向オンチだよ!? 帰って来られる!?」


「兄貴がいるんだから、その点は大丈夫だろ。ただ不安要素は、一海さんの体調なんだよな」