運命みたいに恋してる。

そう、かもしれない。それで一気に目覚めのときを迎えたとか?


じゃあ、これって喜ぶべきことかな?


カフェを諦めてしまったのは、柿崎さんにとって残念なことだろうけれど、安定した収入があれば、うちのお母さんを説得しやすくなるし。


そっか。柿崎さんも、ちゃんとこれからのことを考えていたんだ。


柿崎さんの親友さんには申しわけないけど、もともと、お店を放り出したのは向こうが先だし。


文句を言われる筋合いもないっていうか、もう親友さんにはこの際、カフェのことは忘れて、思う存分に天命に没頭してもらうということで。


「カギ開いたぞ。中に入ろう」


やっと大地が玄関を開けて、あたしたちはゾロゾロと中に入り、静まり返った店内を見回した。


ブラインドが閉じられた薄暗い店内に、人の気配はまるでなく、やっぱり柿崎さんもお姉ちゃんもいないようだ。


「ねえ。あれ、手紙じゃない?」


花梨ちゃんが、玄関に一番近いテーブルの上に置かれてある、白い便箋を見つけた。


みんな引き寄せられるようにテーブルへ向かって、手紙を読んだ。