運命みたいに恋してる。

「じゃあ、今回の件は根も葉もない噂ってことで先生は納得するぞ? それでいいな?」


「はい。ただの迷惑な噂です」


「桜井もそうなんだな?」


「え?」


急に先生に話しかけられて、自分のことで頭がいっぱいだったあたしは我に返った。


「お前は柿崎に対して、恋愛感情はないんだな?」


選択の余地のない質問を迫られて、あたしの答えはひとつしかない。


「はい……。ありません」


そう言うしか、ないじゃないの……。


「よし、それならいいんだ。忙しいのに時間とらせて悪かったな」


「ふたりとも戻っていいわよ」


「はい。失礼します」


先生たちに会釈して、あたしと大地は一緒に進路指導室を出た。


そしてふたりで黙々と廊下を歩き続けた。


無言の空気が痛くて、気まずくてたまらないけれど、なにを話せばいいのか、どんな態度をとればいいのか、まるでわからない。


大地の存在が、こんなに重くてつらいものになるなんて。


あたしが、大地のことを好きになってしまったからだ。


自分でもこの感情をどうすればいいのかわからないよ。