運命みたいに恋してる。

思わず大地とあたしのラブシーンを頭の中で思い描いてしまって、そしたらもう、顔も上げられなくなった。


だって絶対あたしの顔、真っ赤になっちゃってる!


顔中の毛穴から煙が出そうだ。心臓がドキドキして息が苦しい。


やばい。こんなんじゃあたし、完全に認めてると思われちゃう!


違うよ、先生! 違うの!


「違います。そういうことじゃありません」


落ち着いた声が聞こえて、あたしは隣の大地を見た。


こんなに動揺しているあたしとは対照的に、大地は顔色ひとつ変えず、冷静そのものだ。


「俺と桜井が一緒にいるのは、兄貴の店の事情があるからです。恋愛感情からじゃありません」


痛いほど頭に上っていた血が、その言葉でスーッと引いていく。


指先までドキドキしていた激しい鼓動が、嘘のように鎮まった。


そ、そう。その通りだよ。


あたしたちの間に、恋愛感情なんかないんだよ。


大地の、言う通りなんだ……。