大地から『かわいい』って言われたことは前にもあったけど、あのとき感じた恥ずかしさとはまるで違う。


真っ赤になって固まっているあたしを見ながら、大地もちょっぴり照れたように微笑んでいる。


澄んだ黒い瞳が宝石みたいだ。少しだけ赤くなった頬がとても魅力的で、目が離せない。


この胸のときめきも、燃えるような熱さも、幸福感も、まるで不思議な魔法をかけられたみたいだ。


こんな感情、生まれて初めて。あたし、どうしちゃったの……?


「すみませーん。ここって、もう入ってもいいんですか?」


不意に聞こえた声にハッと振り向くと、教室の入り口に生徒が数人立って中を覗き込んでいた。