「ねえ、大地ぃ」


「んー?」


「お姉ちゃんってさぁ、色白で、華奢で、ロングヘアーが似合っててさぁ、憧れの姫君だったんだってさ」


「おお、そうだなあ」


風を切って浮き上がるあたしと、あたしを受け止めて押し上げてくれる大地。


髪の毛が乱れて、スカートがめくれ上がるけど、気にしない。


だってここには、あたしと大地しかいないから。


「あたしは昔から早とちりで、突っ走り系だし、ぜんぜん可愛くないけどさぁ」


「おー」


「こら! そこで納得すんな!」


あたしたちはケラケラと笑った。


夜の公園に、ふたり分の朗らかな笑い声が響き渡る。


あたしは前屈みになって、両足をグンと上げて、自分の力でブランコをこぎ出した。


「でもさ、それでも頑張って恋しちゃっても、いいよねぇ⁉︎」


トンッ!と、大地の大きな手がひときわ強く背中を押す。


「おお! もちろん!」


風が気持ちいい。浮揚感が気持ちいい。体が、心がすごく軽い。