ビックリして優太郎を見ると、優太郎はニコニコしている。


「俺の甘酸っぱい初恋だよ。まだ子どもだったから、イジメることでしか好きな子に近寄れなかったのさ。いやー、我ながら初々しいねぇ」


……優太郎がお姉ちゃんのことを好きだった?


お姉ちゃんが虚弱体質なのを軽蔑して、からかっていたんじゃないの?


だって……。


「だって、あんただけじゃなくて、周りの男の子たちも一緒にお姉ちゃんのことをイジメてたじゃん」


「あぁ。一海はモテてたからなあ」


「モテてた? お姉ちゃんが?」


目を丸くしてオウム返しすると、優太郎は大きくうなずいた。


「おう。ライバル多かったんだぜ?」


じゃあ、あの当時お姉ちゃんをイジメていた男の子たち全員が、お姉ちゃんを好きだったの⁉︎ うそでしょ?


だってお姉ちゃんは体が弱くて、なにもできなくて、いつもイジメられてて、かわいそうで。


あたしが守ってあげなきゃ、どうにもならなくて……。