もしかして、なにか勘違いしてない?


あたしが怪しいバイトして、イケナイ小遣い稼ぎをしてると思っているんじゃないの? 


「それ、返してよ」


慌ててチラシを取り戻そうとしたけど、優太郎は素早くチラシを制服の胸ポケットに入れてしまう。


そして胸ポケットに伸ばしたあたしの手首を、ガシッと掴んだ。


「七海、ちょっとそこの交番まで一緒に来い」


「えぇ!?」


うわ! やっぱり勘違いしてる! 違うんだってば!


「あたし、なんにも悪いことしてないよ!」


「だったら、親はこのバイトを知っているのか?」


「いや、べつに親には話していないけど……」


「ほらみろ」


「どこを見るのよ! まずはあたしの話を聞いてってば!」


「ああ、そこの交番でちゃんと話を聞いてやる。お前の胸の内のすべてを、安心して俺に吐き出すんだ」


「…………」


……どうしよう。べつなもん吐きそう。


それで結局あたしは、完璧に『補導される問題児』な格好で、交番に連行されてしまったのだった……。