「お前、大丈夫か? 親友から絶交されちまって」


「うーん。正直に言えば、かなりキツい」


あたしにとって花梨ちゃんがそばにいるってことは、地球に空気が存在しているくらい、あたり前なことだから。


でも、しかたない。


それが、あたり前でないことをしようとしているあたしが受けるべき代償なんだろう。


「あんま心配すんなよ。お前には俺がついてる」


「うん。……ありがと」


大地の優しい言葉に胸がジーンとして、小さい声でお礼を言ったら、あたしの頭の上に大地がポフンと片手を乗っけて、ポンポンする。


励ましてくれてるんだろうけど、これはかなり照れくさくて、あたしは唇をモニョモニョさせてごまかした。


大地の手が上下するたびに、ちょうどいい重みと温かさを感じる。


「俺はお前を絶対にひとりぼっちにはしないからな」


大地の笑顔が妙に頼もしく見えて、内心ドキドキしながら、あたしも照れ笑いを返した。


いいやつだなぁ。大地って。


「大地とあたしは共同戦線の同士だもんね。頼りにしてるよ」


「おぉ。俺に任せろ。同士!」


ふたりで明るく笑い合ってから、あたしは照れ隠しに咳払いをして、話題を変えた。


「で、さっそくなんだけど、あたしは柿崎さんに対してどうアプローチすればいいと思う? 正解を教えてよ」


「おーまーえーなぁ」


頭をポンポンしていた大地の手が、今度は握りこぶしになって、あたしのこめかみをぐりぐりした。


痛い、痛い。痛いんですけど!