大地に言われるまでもなく、花梨ちゃんはあたしの気持ちを理解してくれているんだよ。


あたし自身よりもあたしの気持ちを理解して、普段ならいつも味方してくれるのが花梨ちゃんだから。


だからこそ今はあたしに、『やめろ』と言っているんだ。


あたしにとって、一番いいと思える選択を忠告してくれている。


花梨ちゃんはあたしより何倍も賢いし、それに正義感も強い。


だからきっと、花梨ちゃんの忠告に従うのが一番正しいと思うけど……でも……。


「七海ちゃんはどうしたいの? どうするのかを選んで」


花梨ちゃんがこっちを向いて、あたしに迫った。


言葉に詰まったあたしは花梨ちゃんを見つめ返す。


絡み合うお互いの視線が痛くて、怖気づいたあたしは下を向いてしまった。


でも言わなきゃならないことを、勇気を振り絞って、どうにか告げることができた。


「ごめんね、花梨ちゃん。あたし、もう決めたの」


「……そう」


あたしの答えを予測していたのか、たいしたショックを受けた様子もなく、花梨ちゃんが淡々と答えた。


「じゃあ、あたしたち絶交だね」


花梨ちゃんはあたしに背を向けて、そのままスタスタと歩き出してしまう。


もう二度と振り返りもしないだろうその背中を、あたしは黙って見送った。


……絶好されちゃった。花梨ちゃんの性格からして、こういう展開になるだろうとは思っていたけれど。