「静夜…。


今回の件には、
その九条の者にも要請があったんじゃよ。」


「………え?」


繁ジィが複雑そうに話す。



「天ヶ星学園は、東京でも妖怪が集まりやすい場所じゃ。


それに最近妖怪の数が増えていて、対処に追われているらしい。


そして遂に、
……九条の術士が倒れたそうじゃ。」


「…倒れた!?
そ…それで、その人は…!?」


「命に別状はない。

だが…当分は絶対安静。


それに霊力も弱っていて、再び役目を務めるのは難しいと、

…我が天瀬家に要請を出したのじゃ。」


繁ジィの話に唖然となった。



術士が倒れた…?



確かにそんな状態、放って置けないけど…。



「最近、荒ぶる妖が増えて続けているのは、事実…。



…その状態が続けば、管理局(カンリキョク)が黙っておらんだろう。」



「……っ!!」


管理局……!?


そこまで追いつめられているのか…!?



「静夜。


…お前がどんな思いでココまで来たのか、ワシはちゃんと知っておる。



…だが、管理局の好きにさせるわけにはイカン。」



繁ジィは、3年前の事を言っているのだろう。



あの時…


私がどれだけ、自分の運命を呪ったのか知っているから…。



天瀬家当主、一族トップの地位にいる繁ジィが、私に命令を下した。



「静夜。


本日より、神ヶ岡高校より…


天ヶ星学園に転校し、九条に代わり天ヶ星学園及び周辺の警護を命じる。」



繁ジィの命令に、私は


「…………………………はい。



天瀬静夜、



必ずやその任、
全うしてみせます…。」



半分は自分の意志に、



もう半分は己の運命に導かれるように、


天瀬一族当主に、
頭を垂れた。