『-気をつけるのだぞ。』



別れ際、氷室が言い残した言葉。



文的には他愛もない言葉。




それなのに、彼のあの言葉は、何故か今も心に残っている。



暖かくて、どこか安らぎを感じるあの言葉は何故か心地よく思えた。




朝の、氷のように冷たい雰囲気の氷室と


放課後の、日溜まりのような温かい雰囲気の氷室。




二面性、と言えばそうかもしれないが……



その言葉で片付けるのは、なんか違う気がする。




……氷室水月、か…………。








「………不思議な人、だったな…………。」





ポツリ、と小さく呟いたら眠気がきて






久々穏やかな気持ちで、眠りについた。