『うん、ちょっと眠れなくて…』




苦笑い気味にそう答える私に、





『まぁ、やっぱり、さすがのマリアも緊張してあんまり眠れなかったのね!無理もないわ、相手はなんといったってあの、モール家のご子息なんだもんね!』





話が噛み合っていないお母様。





もう、めんどくさいからそれでいいや。





『そういえば、お母様こそこんな朝早くにどうしたの?』





お母様がいつもならこんな時間に起きるわけがないし…。







『あぁ、そうそう、マリアの今日のドレスを選ばなきゃいけないでしょ?お母様、たくさん用意したんだから』






そう言って、部屋をうめつくす色とりどりのドレスたち。






う、嘘でしょ…?




思わず、口元がヒクッとひきつった。