森の奥の沼の話【短編】

『そんな顔しないでよ…そうだ、君はあの白い花がいるんだよね?一本だけ残しておくから、後で取りにおいで。その時には魔物は消えていないと思うから』


僕は何て言っていいのかわからなかった

だけど、何か伝えなきゃ

彼女が言ったみたいに、ちゃんと伝えなきゃ


「また、会える?」


咄嗟に出た言葉だった


何、言ってんだよって思った

会えるわけないだろ?

だって彼女は…





『君も私も願えば必ず会えるよ。きっと』


そう言うと彼女は僕の頬に自分の頬をそっと寄せた


甘い、花の香りがふわっとした…





『さあ、もう行きなさい!急いで!』


僕はその声にハッとして、そして来た道を走った

振り返らず

ひたすら走った

後ろから竜巻が迫ってくるような感じがした

それでも振り返る事なく走った

走りながら

母さんがいつも心の中にいるって言ってくれた事

父さんが本当はずっと僕といたいんだって事を

僕は思い返しながら、走って

そしてやっとの事で森を抜けた

その時には、もう竜巻の様なものは消えてなくなっていた









僕はまたマウンテンバイクにまたがった