森の奥の沼の話【短編】

僕はずっと座り込んだまま、彼女の…お姉さんの話を聞いていた

そして、僕なりに言葉を選びながら聞いてみた


「お姉さんさ、その…今、後悔してるの?えっと…」


『沼に身を投げたこと?それとも…魔物の手下になったこと?』


僕は黙ったまま、何度か頷いた


『そうね…バカな事したわよね…どちらも。だけど一番後悔してるのは、あの時、どうして勇気を出して彼にちゃんと聞かなかったのかなって。大切な人って誰の事?ってね。そうすればこんな事にならなかった。この子達も…』


彼女はそっと白い花へと目線を向けた

そして


『自分の思ってる事を言葉に出して言うって、難しい事もあるけれど…でもね、ちゃんと相手に気持ちを伝えると、必ず相手も返してくれると思うんだ』


『時にはね、自分が求めていない言葉が返ってくるかもしれない。でもね、それでも人は言うべき事は言わなきゃダメなんだと思う。きっとね』


お姉さんはそう言うと僕にウインクをした

僕は何だかドキドキしてうつ向いたんだ






『大変…魔物が限界の様ね。君はもう行きなさい。私が何とかするから』


「何とかって?どうするつもりだよっ!」


僕にしては珍しく大きな声が出た


『大丈夫。もう準備は整ったから。あの白い花と共に私は沼に沈む。そうすれば、きっと魔物は消えるはず…』


僕は不思議な感覚だった

目の前の彼女に、死なないでって声をかけようとした

けれど目の前の彼女は迷い人とは言え、死んでいるのだ






途端に悲しくなってしまった