森の奥の沼の話【短編】

「あのさ、き、君じゃなくって、お姉さんはし、し、死んでるの?」

僕はなるべく、落ち着いた声で聞いた

全然、落ち着いた声にならなかったけどね










『ううん、私は死ぬことも生かされる事も許されない、どちらも選べない迷い人よ』


「ま、迷い人?」


『私の身体は今もこの沼の底で眠り続けてる』


『そしてこの沼で眠り続けるために私は魔物の手下として、こうして身体から抜け出して、その目的を果たしている』





「えっ…」


彼女が僕にゆっくりと近づいてきた


僕はやっぱり弱虫だ


今すぐ


走って逃げればいいのに


身体が全く動かないんだ









僕の目の前まで来ると、彼女は僕のほっぺを突っついた





『大丈夫。私は君を助けるって言ったでしょ?それにしても…キャンディーがずっと入っているようなほっぺね』


と言って彼女は笑った