森の奥の沼の話【短編】

彼の絵に惹かれる想いはいつしか彼自身に惹かれる想いへと変わっていた

ある日も森に、彼を探しに来た時

彼は見知らぬ女の人の絵を書いていた

私が誰?って聞くと

大切な人

とだけ彼は答えた

次の日から彼は森に来なくなった

私は毎日毎日、森へ来ては彼を探した

会った所で彼には大切な人がいる

好きになっても想いは届かないって

わかってる

それでも、私は彼を探した

だけど、二度とは会えなかった

私はいつの間にか、こんなにも彼を好きになっていた自分に絶望した

そして、ただ苦しみ悲しんだ

けれど、この苦しみも悲しみも受け止めては貰えない

気づけば森の沼へとやって来ていた