肩をつかまれたと思ったら、くちびるが合っていた。 前回どおり容赦ない。 でも今回は試すようでなくて、奪うようだった。 綺樹は相手にする気力もなく、されるがままだった。 何がフェリックスに火を点けたのかわからなかった。 その従順さだろうか。 キスだけで終わらなかった。 離したかと思うと、綺樹を小脇に抱えるように引きずり、ドアを開けた。 その向こうは当主の寝室だ。