* 綺樹がここに来た理由は、美術展開催の為だった。 ほとんどがウルゴイティの所蔵らしい。 当主が来日して開催日前日のレセプションで挨拶。 その他諸々。 「なんだ、その他諸々って」 胡散臭そうに涼が聞くと、皇居で晩餐とか、と短く答えた。 「それがその他諸々か」 綺樹は首を傾げて考えた。 「そうだな、少し失礼だったな」 「おまえの社交、すっげー心配」 くすくすと笑っている。 軽口を叩き合う友人。 その関係が一番いいのだろうと涼は思っていた。 レセプションで綺樹の姿を見るまでは。