”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


息遣いが変わり、身動きしたのに声をかける。


「おはよう」

「悪い」


髪をかきあげながら身を起こした。


「起こしてくれれば良かったのに。
 眠れなかっただろう」


綺樹は眠りが浅い。


「うん、まあ、大丈夫」


すっかり固まったらしく、体全体をほぐすような仕草をしてから、片腕をもんでいる。


「涼」

「うん」

「離婚しよう」


あくまでもさらっとした口調だった。