涼は上着を脱いで、手じかな椅子に無頓着に投げた。 ソファーで飲んでいた綺樹は、久々の涼の姿を改めて眺めた。 グラスを持ったままの手で顔をなぜる。 ああ、今は姿を見たくなかったな。 先ほど、使用人の噂を聞いたばかりだった。 愛人の中にとびきりお気に入りがいて、正妻のように一緒にパーティーなどに出て、更に子供が出来たらしい。