何も変わらない?


…そんな訳は、ない。



そんな事、雅も凱司も、わかっていた。



数日が過ぎても、鷹野は雅を見ようとはしなかった。

投げ捨てたそのままに、まるで誰も居ないかのように振る舞う様は、張り詰めた緊張を生んだ。


雅も、怖いのか、諦めたのか。

機械的に、食事を作るだけ作ると、自分の部屋に引っ込んだ。



鷹野は、雅の作ったものを食べない。

雅も食べなく、なった。


凱司はひとりで食事を取ると、雅の部屋へ行く。

黙って勉強をしている横顔を見つめ、やつれた様子の雅に、後ろから声を掛けた。



「少しは食え」

「いらない」

あたしの食費は、相殺されてない。

だから、凱司さんの分と鷹野さんの分しか作ってませんから。




取り付く島も、ない。