「…明日の事、なんですが」
帰りがけに、外に見送りに出た友典は、意を決したように口を開いた。
「明日……凱司さんは…」
「居ないな」
鷹野から、既に聞いている。
友典が、心配していると。
主に、夜を。
「………あの」
「いいんだ」
「…え?」
「泣かしゃしねぇだろ」
俺と違って。
と、独りごちた凱司に、宇田川はぴくりと眉を上げるが、何も言わなかった。
友典は、視線を落とし、納得しかねるのか、すぐに真っ直ぐに目を上げて凱司を見つめ、口を開きかけた。
凱司は、友典の頭に右手を置き、その目を至極真面目に受け止める。
「俺のもんに変わりはねぇ」
「……あたしの話ですか?」
“俺のもん”というキーワードに、自分の話かと目を上げた雅は。
なんでもねぇよ、と苦笑した凱司に左手で頭を撫でられて。
右手の下にいる友典に、いまいち解っていない時によく浮かべる、曖昧な笑みを、見せた。

