夜空にランプ



ほんの何気ない瞬間だった。


冬の風の匂いに気づいた時のように。




それは二時間目の授業が移動教室で、理科室に向かってる最中にペンケースを忘れたことに気づき、教室に戻った時だった。







ガララ


ドアを開けると、ざわつきから音を一気に消し去ったしーんと静まり返った教室。



独特の違和感を抱きつつ、急いで机の中からペンケースを取り出した。


教室から出ようとすると、廊下から足音がゆっくりこちらに近づいてくるのが聞こえた。