これは恋ではありません。




「…おい、」


ビクリ。


突然上から聞こえてきた低めの声に、思わず驚いた。

……誰?

顔は見えない。声は知らない声だ。


「………」


とりあえず、シカト。

知らない人なら、放っておいてよ。

あたしは今、一人で泣いてたいんだから。


それに、泣いたからきっと顔を上げたらヒドイ顔をしてるに違いない。

声だって涙声になってるはずだ。