家元の寵愛≪壱≫



―――――不意打ちで唇を奪われた。


もう、本当に彼には勝てない。


不安だらけだった心も

この一瞬で消し去ってしまうんだから。



私は素直に彼の瞳を見つめた。


こうして、こんな間近であなたを見れるのは

――――――――私だけですよね?



「そうやって煽られるとマジで困る」

「えっ?」

「こんな所じゃ、キスしか出来ない」

「ッ?!////////」


もうッ!!

何て破廉恥な事をサラッと言っちゃうの?


私なんて動揺し過ぎて困ってるっていうのに。



「人目もあるから、今はこれだけな?」

「ッ////////」



優しく抱き寄せられ、

額に触れるだけのキスが降って来た。



『今は』という言葉が脳内をリフレインする。

甘い鎖で繋がれ、心も身体も支配されているみたいに。


だけど、それが心地いい。

彼との時間がこの後も続くと思うだけで……。





私は彼と共に幻想的な空間の中へ足を踏み入れた。