一瞬にして再び痛み出す胸の奥。
考えたくも無いし、思い出したくも無いのに。
それでも知ってしまった現実からは逃れられない。
隼斗さんが迎えに来てくれたというだけで
本当は全てを忘れて許そうと思っていたのに、
どうしても拭い切れない思いが込み上げて来た。
「ん?………ゆの、どうかしたか?」
ハンドルを握る彼が、不意に声を掛けて来た。
私が膝の上でギュッと手を握りしめているから……。
「いえ、何でもありません」
「そうか?」
「はい。………これから、どこへ行くんですか?」
「ん?………とりあえず、ちょこっと買物をして、その後は………着いてからのお楽しみ?」
「へ?」
隼斗さんはちょっと悪戯っぽく微笑んだ。
何やらサプライズでもあるのかしら?
結婚記念日
ホワイトデー
隼斗さんの誕生日
この半月の間に祝う予定だったイベントが目白押し。
きっと、彼なりに考えている事があるのだろう。
………私も、少なからず準備して来たしね?



