家元の寵愛≪壱≫



その後は、何が何やら思考が追いつかないのだけど

彼はお父さんに結婚の挨拶をしてくれたみたい。


……でも、それって今する事なの?


隼斗さんの考えている事はイマイチ分からない。

だけど、本当は凄く嬉しかったけどね。


だって、あんな風に頭を下げる彼を

見る事なんて無いと思ってたから。


あんなにも真剣な表情で言われたら、

グッと込み上げて来るものがある。


『大切に想われている』と自惚れてもいいよね?




彼とは別々の車で、一旦自宅へ戻り、

彼と出掛ける為、門前で彼の帰りを待っていた。




30分程すると、またもあの爆音が耳に届く。


以前はあまり好きじゃなかったエンジン音が

今はこんなにも恋しいなんて……。


彼が私の元へ近づいてくる。

……そう思うだけで嬉しくて仕方ない。




彼の車に久しぶりに乗り込むと、

先日の記憶が甦って来た。



私が今座っているこの場所に……―――……