家元の寵愛≪壱≫



「なっ、……どうしたんですか?!」


突然、お義父さんが俺の目の前で正座し、

畳に額をつけそうなくらい頭を下げた。



「娘を………宜しく頼みます」

「ッ?!!」


一瞬の出来事で唖然としてしまったが、



「お義父さん、頭を上げて下さい!!自分の方こそ至らぬ息子ですが………末永く宜しくお願いしますッ!!」


俺は襟を正して、畳に手をつき、

お義父さんに負けないくらい深々とお辞儀をした。



―――――これは人生のけじめ

1年前にしておかなければならなかった事。



あまりの突然の流れで緊張する事さえ忘れていたが、

言い終わってみると、

心の奥からじわりじわりと込み上げて来るものがある。


言葉に出来ぬほどの余韻が……。



お互い、どのタイミングで頭を上げていいのか分からず

無言のまま頭を下げ続けていると、



――――――カシャッ